
 
タクアパは高級リゾートが建ち並ぶ
カオラックから約20キロ、プーケッ
トから車で約2時間半という距離にあ
る一見何もなさそうな田舎町だ。
朝9時に船を予約した。船着き場に
は樹齢百年は超えそうなバニヤンツリ
ーが大きく枝を伸ばしていた。本日は
大潮で、ツアーに使うプリートボート
と呼ばれる小船は水のない泥の上に停
泊していた。
ボートはエンジンを切ってオールで
漕いで進んだ。最初はただの狭苦しい
水路のように思えたが、次第に深い森
の様相になっていった。相当潮が引い
ていたため、このツアーに誘ってくれ
た友人曰く、前回行った時とはずいぶ
ん景観が違い、何もかもがむき出しだ
そうだ。樹齢百年以上のバニヤンツリ
ーがたくさんあった。鳥の巣のような
ものが木から無数に垂れ下がっている。
聞いてみるとこれはなんと根! 普段
は水中にあるのだが水位が下がったた
め、出現したのだ。根はごわごわした
カーペットのようだった。
二パヤシが水路の両端からアーチを
作るように生えている。こぶのような
根元がずらっとこれまた露出している。
このヤシは田舎の人や年寄りがよく吸
っているバイチャとよばれるたばこや、
ヤシ葺き屋根の材料となるのだそうだ。
途中、プラモンと呼ばれる海の民の
村があったり、パンガー名物の泥ガに
取りに来ている漁師とも出会った。
その後一気に河口にでた。なんて広
い。その開放感に思わず歓声をあげた。
延々と続くマングローブ林、所々にで
きた洲で羽を休める鳥、誰もいない川
をプリートボートが一直線にエンジン
全開で走った。これもまた爽快である。
はるかに島を望み、その手前で迂回
して元の水路に戻った。すでに昼近く
だったので河口は暑かったが、マング
ローブ林の中は本当に涼しい。今度は
樹木の上に蛇、とかげも発見。静寂の
中に響く鳥のさえずり、オゾンを感じ
る空気、生い茂る植物の間に広がる小
さな水路。その先にはまだ見ぬ世界へ
の扉があるように思えた。


タクアパ オールドタウン
Takuapa Old Town
タイ映画ザ・ティンマインの舞台となった町。時代から取り残されたような趣。
 

タクアパにも中国ポルトガル様式の家や昔が偲
ばれるオールドタウンがあると聞いて行ってみた。
この町もプーケット同様、20世紀初頭から1950年代ぐらいまで錫の採掘で栄えた。今の町の
中心からは7キロ近く離れている。
町についてび
っくりした。ずいぶんさびれた感じだ。町の中心
と思われる中国寺の向かいには今にも崩れそうな
家。その裏側には中国風の古い長屋。窓には鉄格
子がはまっているだけでずいぶん素朴だ。
廃屋に
なった家の向かいにあったお茶やは町民に人気の
店らしい。ここで昔のどろっとして甘いコーヒー、
カフェボラーンをいただいた。
このエリアは毎年のように洪水があるらしい。
そのせいもあるのか、空き家が目立った。時代に
置き去りにされたような雰囲気は映画の舞台にな
れそうだと思った。懐かしい感じも悪くない。
後日調べてみたら、1940年代が舞台の『ザ
・ティンマイン』というタイ映画の舞台になって
いた。監督も有名でかなり名作らしい。バンコク
の一流大学の若者が錫の採掘場で働いてまたひと
つ大人になっていくという話らしいが、南タイの
自然も美しく描かれているとあった。
そんな名作
ならば町起こしに利用したらいいのにと思った。
そうでもしないと古い歴史の面影は、近い将来跡
形もなくなりそうだ。
町のはずれにある町
の権力者の邸宅跡。
周囲は城壁で囲まれ
ていた。その敷地内
に人々も居住してい
たそう。今はわずか
な城壁跡が残るだけ。
すぐそばに錫の採掘
に従事した労働者の
長屋が残されていた。これもまた廃屋になろうとしている。
オールドタウンへの行き
方:
プーケットから国道
402号、パンガー・コックロイから4号線に入ってカオラ
ックのバンサックビーチ
まで北上。そのまま進ん
でタクアパの町の中心に
ついたら右折して4090号
線に入って約7キロ。 |